歳をとると、身体が思うように動かない、物忘れが多くなった、など不安が増えやすくなります。
それらの不安から精神疾患の病気になる高齢者もいます。
そうならないためには、まずは人間の構造を理解することが大切です。
発達心理学を少し頭に入れておくだけで意識が変わります。
人間は高齢者になると自我の統合と絶望、死の準備の時期が来ます。
これは当たり前のことです。
身体が思うように動かなくなる不安から絶望を感じやすくなります。
この不安はエリクソンが考えた発達心理上は当然のこととして捉えます。
発達段階は新生児から高齢者までの8段階あります。
それぞれの段階で直面するワードが異なります。
高齢者になりますと自我の統合と絶望、死の準備の時期が来ます。
肉体的・身体的な衰えは万人に平等に与えられ、避けることはできない壁です。
そのような衰えにより様々な機能の低下が生じやすくなってきます。
機能の低下を補うように、これまでの経験や知識、人徳が集大成となっていく時期とも言えるでしょう。
物忘れは病気ではない
物忘れとは、脳の老化であり今日体験したことの一部分を忘れることです。
私たちも日常生活で一部分が忘れてしまうことがあります。
一部分を忘れてそのまま放置をしてしまうと記憶の司令塔である海馬が使われなくなり、物忘れが進行してしまうと言われています。
日常生活で忘れがあったとしても、ちゃんと思い出すように頭を使うことを心がけてくださいね。
記憶の司令塔である海馬に刺激を与えることが大切です。
認知症の3つのパターン
認知症とは、脳の神経細胞の変形や脱落です。
65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者と言われています。
体験したことを丸ごと忘れてしまうことであり、忘れた自覚はありません。
徐々に進行する怖い病気です。
認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症と3つに分類されます。
アルツハイマー型認知症とは、脳の機能の一部(海馬周辺)が萎縮していくことです。
新しく経験したことを記憶できず、すぐに忘れてしまいます。
今いる場所や、日にちなどがわからなくなり、計算もできなくなってしまいます。
また、徘徊をする症状が多いのも特徴です。
認知症の中で最も多く約50%にもなり、女性に多いといわれています。
脳血管型認知症とは、脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
脳の場所や障害の程度によって、症状がかなり異なります。
そのため、できることとできないことが比較的はっきりとわかれていることが多くなります。
感情の起伏が激しくなったり、手足に麻痺や感覚の障害など神経症状が現れることがあります。
ダメージを受けた場所によっては言語障害などが出る場合もあります。
こちらは比較的男性が多いそうです。
レビー小体型認知症とは、脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる特殊なたんぱく質の塊が大脳皮質に広くに現れることで認知症の症状が現れるものです。
実際にはいない人が見える「幻視」や、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン症状もあります。
また、時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が日によって変動します。
もし家族が認知症かなと思ったら…
前述の通り、認知症といっても、その症状には違いがあります。
これらの認知症ごとの症状の違いに伴い、適切な介護の方法や、周囲の人に望まれる対応も変わってきますので注意が必要です。
そこでもし認知症かな?と思ったらすぐに病院を受診することを心がけましょう。
1.病院で受診
「恥ずかしい」「そんなはずはない」と病院の受診をためらったり、拒否する人が多いそうです。
特に今まで健康に日々を過ごしてきた人ほど、認知症の疑いがあるから病院を受診しようと言われても素直に応じられないのではないでしょうか。
受診を拒否すること自体が認知症の始まりとも言われています。
2.役所や地域包括センターへ相談
社会福祉協議会の中に地域包括支援センターがあります。
地域包括支援センターは高齢者の方の相談窓口を基本としているようですが、窓口として病院との連携など方法を模索してくれます。
認知症に携わっている専門家もいますので、病院に行きたがらない当人への説得など周囲を巻き込むことで受診のきっかけになるかも知れません。
※状況のメモはなるべく詳しく!
現在起きている問題点、どのような行動を、いつしたのか、などメモ書きでもいいので詳しく記録しておくと受診でも相談でも非常に役に立ちます。
2018年4月から国の支援策として「認知症初期集中支援チーム」が全市町村に設置されています。
家族だけで抱え込まず、積極的に相談していくことで、本人の生活自立やストレスの低減を目指すことが大切ですね。